アーユルヴェーダとドーシャのお話し | プラクリティとヴィクリティって何?
アーユルヴェーダを学んでいくと、最初に得る知識が「ドーシャ」だと思います。
この記事ではこの「ドーシャ」について深く掘り下げていきます。
実は私、最初の頃、この「ドーシャ」の在り方について混乱していたのよ。
だからこの「ドーシャ」の意味合いをしっかり理解していないと、途中から「???」になってしまうので、今回はきちんと解説していきたいと思って…
Contents
アーユルヴェーダとドーシャ
以前、アーユルヴェーダに関する記事を投稿した際、「ドーシャ」は私たち個人個人の体質を表すものだとお伝えしたと思います。
この時の記事はこちらになります。
確かに「ドーシャ」は体質を表します。
体質と聞くと一生変わらないくらい、不変的な印象を持ちますよね。
そして、インターネットなどで手軽にできる「ドーシャ診断」を受けると「あなたのドーシャは◯◯です。」と診断されます。
確かに持って生まれたタイプはあります。
しかし、私たちの体はさまざまな影響を受け、日々変動していることを忘れてはいけません。
インターネットで手軽にできるドーシャ診断とは、「あなたの体質はこのドーシャなので、いつ何時もこのドーシャに対するアプローチをしましょう。」ではなく、「あなたは今このドーシャが増えている状態です。」と認識する方が、今後理解しやすくなるでしょう。
アーユルヴェーダにおいてプラクリティとは
「ドーシャ」について学んでいくと、「プラクリティ」という言葉に出会うと思います。
「プラクリティ」とは「本質」という意味があり、私たちが生まれながらに両親から受け継いだ体質(ドーシャタイプ)のことを言います。
先ほど、「ドーシャ」はさまざまな影響を受けて変動すると説明しましたが、「プラクリティ」は不変的なものです。
「プラクリティ」は、どのドーシャが優勢にして生まれてきたか、ということよ。
例えば、「あなたのプラクリティはピッタタイプね。」という感じ。
「プラクリティ」の決定は、なんと卵子と精子が受精した時に決定するというから、正に本質的ですね。
具体的には、皮膚や血液、脂肪、胃、腸など体を生成する臓器や骨髄から、毛髪や歯、爪など、肉体を形成するものを指します。
生まれながらにくせ毛だったり、体型、胃腸の強さなど、それが生まれながらに持った「プラクリティ」です。
この「プラクリティ」を知ることは、自身の健康状態を保つ上で非常に重要となってきます。
ふむふむ。「プラクリティ」の意味はわかってきたけれど、それが健康状態を保つ上で、どう重要となってくるのだ?
プラクリティを知ることの意味
なぜプラクリティを知っておくことが必要なのか…
それは、主に以下の3つが挙げられます。
- 自分で不調や体調の傾向を知ることができる
- 自分に合った生活習慣を立てることができる
- 医師によるアーユルヴェーダ治療の際に指標となる
プラクリティを知っておくことの意味合いはあるのだけど、ここはふんわり把握しておくだけで大丈夫よ♪
現代社会に生きる私たちにとってはその後に続く「ヴィクリティ」の方が関係性が深いから!
1 | 自分で不調や体調の傾向を知ることができる
例えば自身のプラクリティがピッタ体質の場合…
ピッタは情熱的な「火」のエネルギーと、その「火」を調整する「水」のエネルギーを持ち合わせています。
体内に熱のエネルギーを多く持っているため、寒さには強い反面、暑さには弱く汗をかきやすいことがピッタの特徴です。
しかし、ピッタのバランスが崩れると、更に汗をかきやすくなって、湿疹や蕁麻疹が出やすくなったり、胃腸の病気を発症して胸焼けが出たりする傾向があります。
つまり、自身のプラクリティを知ることで、どのような不調が出やすいのかをあらかじめ知っておくことができるため、事前に対策を取ることができます。
2 | 自分に合った生活習慣を立てることができる
例えば自身のプラクリティがヴァータ体質の場合…
ヴァータは軽さや冷たさ、動性が特徴である「風」と「空」のエネルギーを持ち合わせています。
皮膚は冷たく乾燥気味な体質を保つことから、ヴァータのバランスが崩れるとこれら「冷たさ」と「乾燥」が助長され、体冷え気味になる傾向があります。
よって、ヴァータ体質の場合は長湯をすることを日々の生活に取り入れることがオススメです。
しかし、ピッタ体質の場合は体内に熱のエネルギーを多く持っていることから、長湯は向いていません。
このように、自身のプラクリティに合った生活習慣を立てることで、より快適な毎日を過ごせることができるようになります。
3 | 医師によるアーユルヴェーダ治療計画に必須
アーユルヴェーダ治療をする際、患者のプラクリティを知ることは必須項目となります。
生まれながらに持っている体質に合わせて対処法が変わってきますので、非常に重要です。
例えば更年期障害が発症した際、西洋医学のように一つのお薬を一般的に処方する、というわけではなく、それぞれの体質に合ったスパイスや薬草を処方することが基本となるからです。
アーユルヴェーダの治療は、患者のプラクリティ(生まれ持った体質)に基づき、乱れたドーシャを整えること。
そのため、医師は患者のプラクリティを知る必要があるのです。
なんだかプラクリティの意味がわかってきたワン!
続いて「ヴィクリティ」ニャ!
プラクリティとヴィクリティの関係性
「ヴィクリティ」という言葉はあまり耳にしないと思います。
しかし、この「ヴィクリティ」こそが、「今」の私たちのドーシャバランスです。
いわゆるインターネットなどでカジュアルに診断する際に判定される結果が「ヴィクリティ」と思っておくと良いです。
「プラクリティ」は不変的なものであると伝えましたが、「ヴィクリティ」こそ「今」の状態を表すドーシャバランスのため、住んでいる環境や置かれている状況なので変動します。
では主にどのような影響で「ヴィクリティ」は変化するのか…
- 住環境
- 職場環境
- 季節
- 年代
- 時間帯
このように、さまざまな要因で「ヴィクリティ」は変動します。
そしてこの「ヴィクリティ」のバランスを整えることが、アーユルヴェーダを日々の生活に取り入れる、ということなのです。
なるほど!
「今」の自分の状態は「ヴィクリティ」を調べれば良いんだね!
ではさっきの「プラクリティ」のことは忘れて良い!?
ダメダメ!
”「プラクリティ」あっての「ヴィクリティ」のバランスを整える”だから、自分の「プラクリティ」は覚えておいてね。
ヴィクリティをベースに対処していく
プラクリティは生まれながらの体質であり、ヴィクリティは「今」のドーシャバランスであることがわかりました。
アーユルヴェーダにおけるドーシャのバランスを整えるとは、自身のプラクリティに近づくために、「今」のヴィクリティを知り、増えているドーシャを整える、ということです。
例えば、プラクリティがヴァータの方はヴァータが増えやすい傾向にあります。
その増えた状態がヴァータヴィクリティと言うこととなり、過剰に増えすぎたヴァータを整えることが必要となります。
しかし、ヴィクリティは生活習慣によってプラクリティとは違う性質が出ることもあります。
その理由として、現代はストレス過多なため、生まれながらのプラクリティを保ったまま生活できている人は希少だからなのだ。
その場合、セルフケアをする際は、ヴィクリティに基づいてドーシャを整える対処法を行うようにします。
以上の点から、日々の生活にアーユルヴェーダを取り入れるには、自身の生まれ持った体型などでざっくりとプラクリティを知りつつ、ヴィクリティをベースに対処していきましょう。
インドの生命科学アーユルヴェーダ
最後に、アーユルヴェーダを日々の生活に取り入れる上で、オススメの本を1冊ご紹介したいと思います。
こちらは日本において、アーユルヴェーダの第一人者である西川眞知子さんと上馬場和夫さんによる書籍となります。
まるで「家庭の医学」のように、本棚に並んでいると安心する1冊です。
これからアーユルヴェーダを学びたいな、と考えている方にもオススメです。
まとめ
この記事ではプラクリティとヴィクリティの違いを解説してきました。
最初は頭がこんがらがりそうになりますが、自分の生まれ持った体質をざっくりとで良いので把握しつつ、「今」の状態を見て対処すると言うこと。
最近なんとなく鼻が詰まるな…と思ったらカパが増えている証拠。
そういえば私はカパ体質だったな…だから鼻が詰まりやすいのか…
ならば日頃からカパが増えないような生活習慣・食生活を心がけよう!
と、こんな感じです。
あまり難しく考えず、日頃から心身の状態を見つめて対処することで、毎日を快適に過ごすことができます。
それが、アーユルヴェーダを日々の生活に取り入れる醍醐味と言えるでしょう。